先日機会を頂戴し「椿姫」一幕のガストン子爵を演唱しました。

個人的に苦手な音・歌詞が多いこの役…特に初っ端が出にくい。
出鼻を挫かれると尾を引くので第一声が必死でした。
勿論演技もありますから、バランス良く気を配らないといけません。

歌う事、その為に必要な身体の事、演技の対象者の事、一緒に組んでいるカップル役の事…
そしてそれら全てがお客様の目に耳にどのように届いているのかと言う事。

幸い、大きな傷にはならない程度に歌えたとは思いますが、まだまだ改善していかないといけません。

で、今回の舞台を通じて何を一番感じたかと言うと・・・
今回は無料の演奏会という事もあり、字幕がなかった(稽古が始まるまであると思い込んでいた)
その事に関して演技を演出家に指摘され、自分が今までどれだけ字幕に甘えていたのかという事を痛感した。

私が学生時代までは日本語でオペラをやる事が多かったのですが(日本語でやれば分かるかと言えばそうでもないですが)最近は原語上演がほとんどとなりました。
そしてホールで原語で演唱するとなれば、ほぼ100%字幕が付いていました。

お客様は字幕を見て演技や歌を補完している。
これはお客様が悪いのではなく、提供側の商業的怠惰だったのだと。
提供側には楽譜という台本やプランがあり、次に何が起こるか知っているが、お客様の大半は知らない。
何なら「あなたは何の役ですか?」っていう段階の方が多いのだと。

確かに自分が初めてオペラを観に行った時も音楽や登場人物(合唱含む)の多さや美術・衣装等の渦に巻き込まれて何がなんだかになった記憶がある。

私は当時高校生…幸い、一緒に連れていってくださった方が手解きをしてくださったので、
・登場人物の関係性を知っておくこと(パンフに書いてあるかもしれないが、直前に叩き込みでは厳しい)
・あらすじは予め知っておくこと(映画や本の世界とは真逆!知っていないと楽しめない)
この二点は抑えておきなさいと。

現代はインターネットがある。便利になったのに、与えられるばかりの世界に慣れていると(TV、学校教育含む)自ら求める力が減っている事にすら気付かない時代になったと感じる。
また、いつでも調べられるから身近にあり過ぎて、逆にやらなくなるという事もある。

いや、話が逸れ過ぎた。

歌で全てを表現できるレベルに到底届かないのなら(勿論、出来る限り磨くし努力はする)動きで分からせる。

自分が何者で、どんな事を歌っているのかetc.

短い稽古だったけれど、メモ代わりとして〆